中村天風（なかむら　てんぷう）

1876年（明治９年）東京生まれ。日露戦争のとき、参謀本部付き諜報部員にえらばれ、満州で活躍するが、そのあと肺結核をわずらい、死を覚悟する。しかし、死に対して強い心をもってのぞみたいと考え、
「いかにすれば人は心を強くできるか」
という問題の解決をもとめ、宗教や哲学の書を読みあさる。1909年、33才のときに渡米、コロンビア大学で医学を学ぶ。
医学が問題の解決にならないとさとり、ヨーロッパに渡る。当時最先端の研究をしていた、神経学者、生命科学者、心理学者に学ぶも、解決にいたらず、いよいよ死を覚悟して日本に帰る途中、エジプトでヨーガの聖者カリアッパ師と奇跡的な出会いをし、ネパールの山奥のゴーケ村 (カンチェンジュンガ山のふもと) につれていかれる。
そこでヨーガの修行を約3年間積み、滝つぼのわきで滝の音を聞く瞑想によって、ついに悟りを開く。（1913年、37才）同時に「心をいかにすれば強くできるか」という疑問の解決も得た。
帰国後、実業界で活躍して成功するも、1919年（大正8年）43才のとき、突然感ずるところがあり、人々を救うため「統一哲医学会」（のちの天風会）をつくる。実践的な天風哲学を多くに人に教えはじめた。政界、財界有力者が多く入会した。
50年にわたって日本全国で天風哲学を説いた。その間、いっさいの宣伝をせず、名誉も財産も求めなかった。1968年（昭和43年）大往生を遂げる。享年92。死後、天風の講話や講演を記録した本が出版され、年を追うごとに中村天風の名は世に知られるようになった。

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